株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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 週刊ゴルフダイジェスト(1) 2004年5月25日  出版社:ゴルフダイジェスト社

1.設計家から見たグリーン

新にゴルフコースを設計する場合、設計者が一番初めに検討するのは、クラブハウスの位置と、コースのルーティングである。スタート直後の数ホールが朝日に向かわないように、最後の数ホールが夕日に向かわないように考える。
日本ではアウトとイン両方からスタートする形式が一般的だから、少なくとも1番2番と10番11番は東向きのホールを
避け、同様に8番9番と17番18番は西向きには造らない。つまり、18ホール
中8ホールが東西の方向に対する制約を受けるのだクラブハウスへの導入経路は、
距離が短いほうが経済的し、フェアウエーとは交差しないほうが良い纏めると、
クラブハウスの位置は敷地の外周部付近でしかも南北を含む東側が望ましい訳だ。

2番目に、18ホールを3ホール毎の6つのパートに分け、距離と基準打数の合計を
吟味し、地形や植生を勘案しながら、コースの骨格を検討するのが一般的だろう。
ーの並び方次第で、コース全体の雰囲気が男性的で雄大な構成になるか、女性的
で優美な構成になるか概略が決まるのだ

次に、ホール毎の目標難易度を考えるが、そのホールがラウンド全体から見て何番目のホールか、そこでどのような
ゲームが展開されるか、と想像しながらの作業である。最後に、池やバンカーといったハザード配置を決めてゆくのだがグリーンの大きさやき、傾斜の方向やガードバンカー等との取り合いも、とても大切な戦略性の一部である。

『良いホールは、グリーンの一寸した傾斜が、400ヤードも離れたティー
インググラウンドでのプレーに影響を及ぼすものだ。』

とA.マッケンジーも述べている。
このように考えてゆくと、グリーンはコースの中で単独で存在するものではなく、
周りと調和してこそ美しく映える物だと思う。


2.四種類のルーティングの説明

セント・アンドリュース
ゴルフが始まった15世紀ごろは、現在のオールドコースが海岸線に接しており、リンクスランドの幅も狭かったのだろう。原始的なゴルフではプレー人口も少なく、プレーヤーが交差する事も問題ではなかった。19世紀にトム・モリスが反時計回りにルートを変更しても、ダブルグリーンは変えなかった。
ゴーイングアウト・カミングインの最小解。

ツルーン
19世紀後半の開場なので、行って来いの古典的な構成を採りながら、フェアウエー
の共用はしていない。セント・アンドリュースに較べて約1.5倍の敷地幅が必要
だが、それに見合う格式があったという事だろう。
尚、設計者は所属プロやジェームス・ブレイド、A.マッケンジーやフランク・
ぺニックと時代ごとに改修している。

ミュアフィールド
世界最古の倶楽部組織が現在所有するコースは、リースリンクスから度々移動を
繰り返して、1891年にミュアフィールドに落ち着いた。
原設計はジグザグパターンだが、現在のルーティングはほぼ理想的なものである。
フロント9は時計回りでスライサーに易しく、バック9は逆になる。風も太陽の
影響も其々のホールで異なり、飽きさせない。

サニングデール
トーナメントが行われるオールドコースはウイリー・パークの設計で単純な
ルーティングだが、コルト氏が総支配人時代に設計したニューコースは現代に
連なる多面性を良く顕してる。此処では多少強引な所も散見されるが、その後の
作品は実に調和が取れている。

3.レダンホールとゴールデン・ベル

ノース・バーウィックの十五番。通称レダンと呼ばれるパー3は、オーガスタ・ナショナルの12番と共に、今までに最も多く真似されたホールではないか、とよく言われる。