株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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 連載・ゴルフ場セミナー誌 2001年4月号    出版社:ゴルフダイジェスト社
 (1)「トム・モリスの国から」(連載第20回)

ビジタープレーの予約あれこれ
 春や夏の行楽シーズンに向けて計画を立て始めている読者も多いと思うので、今回は英国にゴルフ旅行を考えている人に有益だと思う事を書くことにする。
 一般に欧州人は夏のバカンスシーズンに命を賭けていて、7月始めから9月までは行楽地がとても混み合う。パリの有名なレストラン等もコックが遊びに
行ってしまうためか、この時期は休業している事が多い程なのだ。
また英国人は予約をするのが好きな国民らしく、安くて快適なホテルはすぐに
満室になってしまうので、豪華なホテルかB&B(ベッド&ブレックファースト)
しか残っていない事が多い。一般に英国の宿泊料金は大陸に比べて高く、ほぼ
日本並みで、一番安いB&Bでも8千円位である。
 という訳で、できれば初夏の欧州を旅行してもらいたい。
木々の芽ぶく時期や色の違いが織り成す新緑の眩しさは、英国の誇りであり、
最も素敵な季節なのだ。ジューンブライト(6月の花嫁は若い女性の憧れだが、
元々は英国の6月が天候が安定していて美しい季節だから言われ始めた言葉
なのだ。
 ゴルフ場の関係者ならば、ロンドンのキューガーデン(小石川植物園のよう
な所)で丸一日過ごす事をお勧めしたい。世界中の芝を含めた植物が見られる
という事以上に、英国人の庭造りや管理手法が良くわかる。きっとその場は
退屈するだろうが、日本に帰ってから『行ってよかった』と思える事を保証します
 さて此所までは楽しい話しだったのだが、肝心のゴルフコースの予約の話題
である。
 ビジターがスタート予約をする方法で一番正式な方法は、手紙を書くことである。
支配人かスタート係宛にプレーしたい日又は週、氏名、所属倶楽部とハンディ
キャップなどを箇条書にし、倶楽部へのちょっとした賛辞と国際返信切手を同
封すれば完璧で、2週間もすれば必ず返事が返ってくるはずだ。FAXやEメール
でも事は足りるが、名門倶楽部に対しては気が引ける。
電話による予約は、始めて訪問する倶楽部には常識的にしてはならない。
 つまり旅行者が英国の一流所でゴルフをしたくても、予約がなかなか難しい
訳だ。
 ところが旅行会社からは全英オープンを開催するような有名コースばかりを
集めたパック旅行が宣伝されている。
先日、旅行代理店勤務の青年に業界の常識を教えてもらって、かねがね不思議
に思っていた疑問が解けた。
 セント・アンドリューズを例にとると、ご存じのようにOldコースを含めて
総てパブリックコースだが、スタート枠を持っている組織が幾つかある。その
会員から予約枠をプレーヤー一人当り数万円で買い取っているらしい。4人組
のスタート予約で数十万円が会員の懐に入る計算である。因にグリーンフィー
は1万円程、キャディーフィーも1万円弱は掛かるだろうから、旅行者は1ラウ
ンドに十数万円も払っている勘定になる。
 スタート枠を売り渡した人や、是が非でもプレーしてみたい旅行者は自分達
の判断と才覚でやっている事なのだから文句を言う筋合いではないが、問題は
ハンディキャップ証明証を偽造している場合が殆どだという事なのだ。
 もし読者の所属している倶楽部でハンデキャップ証明証(英語版である必要
は必ずしもない)を発行していない場合、倶楽部会員は欧州の有名ゴルフ倶楽
部ではビジターとしてプレーはできない。
現地の友人にゲストとして招かれるか、私文書偽造のリスクを犯すしか方法は
ないのだ。