今回と次回にわたり、誌面でよく話題に上るマナーについて、私の考えをお伝えしたく思います。基本的にマナーというのは、同伴プレーヤーや倶楽部やコースに対して礼節をわきまえるという事です。ですから法律や戒律と違い、日常的な細々とした習慣の蓄積のような物で、違反したからといって別段咎められる性質のものではありません。
ただ、普段の生活でも礼儀を知らない人や、平気で他人の楽しみを奪ってしまう
人とは、プライベートでは付き合いたくありませんよネ。それと同じで、マナーの
悪い人は段々と一緒にプレーしてくれる友人を失って、孤立してしまうようです。
そこでマナーと言うメンバー同志やプレーヤー同志の思いやりの心を纏めた
物ができたように思えるのです。
プレー中の振る舞いや、同伴プレーヤーに対する心配りなどは、誌面の関係上
次回に廻しますが、あまり杓子定規に考えずに、段々と洗練されたマナーを身に
つけるように努力する気持ちを忘れてはいけません。
まず、クラブハウスに到着して受付をする間、荷物がソファーの上に置いてあると
がっかりします。ソファーは人が座るための物です。ボストンバッグは近くの棚に
置くか、心配ならば足元に置いて下さい。
またお金を払うからといって、従業員が奴隷になるわけでも、自分が王侯貴族に
なるわけでもありません。卑屈になる必要はありませんが、尊大な態度をとったり、
挨拶の言葉を無視したりしてはなりません。会釈など一瞬でできる事なのです。
逆に、同じクラブハウス内でも些細な気遣いが、心を晴れやかにしてくれる
場合もあります。洗面所で手を洗う時、備え付けのタオルを使う事が多いと
思いますが、自分の手を拭いたタオルで洗面器の淵を軽く拭っておくと、
後から来た人が洗面台を気持ち良く使えます。
さて、スタート時間の事を英語ではティーオフタイムと言います。
これはティーショットを全員打ち終わり、次の組にティーインググラウンドを
明け渡す時間の事を指し、決してその時間からティーショットを打ち始める
意味ではありません。ですから、スタート時間の5分前にはショットの準備をして
全員が集合していなくてはなりません。
Par3ホールでは、前の組がホールアウトしてから、後続組がティーショットを
行うことが原則です。混雑渋滞しているコースの場合、後続組に先にティー
ショットさせる事が多く、それがマナーだと思いこんでいらっしゃる方も多いと
思いますが、自分達の速度が遅い事を気にするなら後続組に先に行ってもらった
方が良く、その時以外は自分達のプレーを中断してまで、守るべきマナーでは
ありません。
打たせてもらった後続組のプレーヤーは、必ずグリーンの30ヤード程手前で
立ち止まり、先行組の邪魔にならないようにすべきです。本来そのグリーンは
先行組にだけプレーが許される場所であり、間違っても先行組のパットを見て、
自分のパットの参考にしようなどと姑息な事を考えてはいけません。
バンカーの均し方は、平たく直すのが一番ですが、ギザギザのレーキしかない
場合、レーキの筋目が打ちたいと思われるプレー方向と平行になるように直す
のがお行儀です。
グリーンとか旗竿に向かって直交して均してあると、ボールが畝の間の轍に潜り、
目玉のような状態になって極端に打ちにくくなるからです。また顎のある
バンカーでは、そこを駆け上ったりすると危険ですし、顎も傷みやすくなります
から、低い所から出入りする配慮が必要です。 バンカーレーキはプレー方向と
平行にバンカーの外側に置く倶楽部とハザード内に置く倶楽部がありますが、
その倶楽部の慣例に従えば無難です。
最後にパーティー席上の優勝スピーチで、「本日はパートナーに恵まれ、云々」
と聞くと、ドキッとします。ストロークプレーの競技会では、パートナーと
呼べるのはキャディーさんだけのはずです。もし同伴競技者をパートナーと
呼んだとすれば、競技中にクラブの番手を教え合ったり、ラインを読み合ったり
したと思われてしまいますので、ご注意を!
|