|
|
|
月刊ゴルフメイト誌 2003年10月号 出版社:丸善 |
|
|
|
|
前回に引き続きゴルフマナーの話ですが、今回は実際のラウンド中の話を中心にお話しましょう。以下は私が英国の倶楽部メンバーとして体験してきた事ですので、日本の実情と少し違うかもしれません。しかし、向学のために欧米のマナーを学んでみる事も意味ある事です。
ラウンドの前後には全ての同伴プレーヤーとお互いの健闘を称え合い、
握手を交わすのが普通です。女性の場合は別ですが、ジェントルマン・ゴルファー
(職業ゴルファー以外)は必ず帽子を取り、素手の右手でしっかりと握り合います。
欧米では、御座なりに緩く握手する事をフィッシュ(魚)と言い、誠意の無い証
と見なされる事があります。前の組がティーインググラウンドにいる時は、
30ヤードほど手前で立ち止まり、先行組の邪魔にならないように静かに待つのが
お行儀です。
さて、自分達の番になりました。
最初に打つ人をオナー(honor)と言いますが、これは先陣をきる栄誉を与えられた
と言う意味です。日本ではよくオーナー(owner)と間違われて使われていますが、
その組の所有者や親分になる訳ではありません。右利きのプレーヤーが多い組
では、ティーインググラウンドの右側に並んで、同伴競技者の球の行方を追って
あげるのが普通です。また、打った瞬間毎に「ナイスショット!」と大声を張り
上げる事も感心しません。ほんとに良いショットだと思えば、打った本人に
それを伝えるだけで充分だからです。
これは、ティーショットに限った事ではありませんが、同伴プレーヤーの
プレーを見てあげる事はとても重要で、決してキャディーさん任せにしては
なりません。そうすれば、相手が何回打ったか判りますから、ホールアウト後に
同伴プレーヤーのスコアーを聞いて廻るような、みっともない事をしなくて
すみます。
何故かと言うと、この行為はせっかく一緒にプレーしているのに、相手のことを
一つも気遣っていない事を、自分で白状しているような物だからです。これらの
事から、総てのプレーヤーはホールアウト直後に、自分のスコアーを同伴
プレーヤーに申告してあげる事が親切なマナーです。日本に限らず欧米でも
90を切れないプレーヤーは、自分のショットに精一杯で余裕が無く、同伴
プレーヤーのプレーどころか、回っているホールの印象さえ曖昧なのが普通です。
一方80を切れるようになると、芝目や風やライに敏感に対応でき、他人の球を
見つけるのも早い事が多いものです。ゴルフが上手くなるコツは、球を打つ
技術ばかりでなく案外そこにあるのかもしれません。
もう一つ、悪いマナーの典型はミスショットした後の言い訳です。次に
打つ人の邪魔になりますし、誰も他人の愚痴を聞きたいとは思っていません。
キチンとディボット跡の処理をし、球の行方を確認したら、平然と次のプレーヤー
のショットを待つべきです。言い訳をし、皆が同情してくれたとしても、ミス
ショットが戻ってくる訳ではありません。
一説には練習豊富な職業ゴルファーでさえ、厳密な意味での完璧なショットは
1ラウンドで数回しかなく、あとは総てミスなのだそうです。欧米ではゴルフで
言い訳がましい人は、実際の社会生活の中でも自分の力を過信し、危機
管理能力に欠けていると考えられてしまいます。
さて、やっとグリーンにたどり着きました。先ずやらなければならない事は、
ピッチマークを直す事です。自分のつけた物ともう一つ別のピッチマークを
直す癖をつけましょう。アマチュアの場合、難しいパットをねじ込んだとしても、
派手なアクションは慎むべきです。
お金のために戦わざるを得ない職業ゴルファーならば、同伴競技者を威嚇する
行為も必要かもしれませんが、ジェントルマンは同伴プレーヤーを気遣う心を
忘れてはなりません。
カップからボールを取り出す時、ホール近くを踏んでしまうとグリーンの
一番重要な部分が荒れてしまいますので、少なくとも靴1足分は離れて下さい。
また、パターを杖代わりにして体重を掛けると、グリーン面が凸凹になって
しまいます。最後にホールアウト後、カップを跨ぐ事は厳禁です。カップの淵に
躓き、後続プレーヤーに不愉快なパットを強いる可能性があるからです。
|
Copyright ©
2003- Quatre-Quart Co.,Ltd. All Rights Reserved. |
|
|
|
|
|