株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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 月刊ゴルフメイト誌 2004年3月号                出版社:丸善
  「迫田耕のアカデミック講座」(連載第16回)

一般的な欧州の倶楽部組織
 米国取材に行ったのが契機になっ、日本のゴルフの方向性を多角的に捕らえるようになりました。
去年までは、欧州の倶楽部組織と日本の商業的な遊興施設としてのゴルフ場を較べて悲観するばかりでしたが、現実のゴルフ場をテーマにしなければラチがあきません。
ゴルフ業界の不況はここ暫く続きゴルフ場の身売り話が多く聞かれ以前とは
随分違ったゴルフ場経営の方法もありそうです。
RCC(整理回収機構)に登録されたゴルフ場の価格を聞くと数億円程度ですから、
既存のゴルフ場を買い取って、新に倶楽部組織を立ち上げるには良い機会かも
しれません。
そこで、この話を故夏坂健さんのファンクラブである「地球ゴルフ倶楽部」とか、
マナー研究家の鈴木康之さんが首謀する「ピーターズクラブ」とか、幾つかの先
進的な組織に伝え経営に行き詰ったゴルフ場を買い取て理想的な倶楽部組織
を再構築しませんか?と提案してきました。
また同様な手法で、ゴルフ練習場数箇所がゴルフコースを買い取り、共同で
セミパブリックのゴルフコースを運営するという可能性も、俄かに現実味を
帯びてきました。
都市に根ざした練習場の集客力を生かしレッスンの一環として自前のコースを
利用できるメリットはとても大きく思います。
コースが多少遠くても、クラブ側が大型バスを用意していれば良いわけですし、
練習仲間女性同士や、車を運転できない少年少女を纏めてジュニア育成の場
にも活用できます。
これからは時代の流れに即応したあまり堅苦しないゴルフのあり方も模索する
必要もあるでしょうし、それによって既存の倶楽部価格競争ばかりでなく、
独自性を打ち出せるようになる事を期待しています。
これらの運動は未だ明確な結果を出してはいませんが、近い将来不況に喘ぐ
ゴルフ界の再編モデルとして脚光を浴びる事は間違いありません。

という訳で今回は私の考える近未来のプライベート倶楽部のガイドライン04年
バージョンです。
夢のような話に感じるか、現実の厳しさを再認識されるか判りませんがゴルフ
メイトの読者同士の議論の叩き台にしていただけると幸いです。
まず、メンバー数は600人から900人で、毎年会員名簿を発行します。
入会金100万円、年会費36万円(月3万円)、預託金無しという条件です。
年会費が現在の既存倶楽部に比べてとても高いのですが、会員権相場に左右
されず健全なクラブ運営をしていくためにはこの程度は必要です。因みにこの
金額は都会にあるテニスクラブの会費とほぼ同額です。
600人の会員数で入会金の合計は6億円ですから昨今の状況ではゴルフコースを
入手でき、会員数によっては改造費用も捻出可能です。
同様に600人分の年会費の合計が2億円余り900人では3億2千万円位ですから、
コース管理費の約1億円や固定資産税などを引いてもスタッフの人件費も賄え
ます。スタッフはコース管理9人ハウス内9人の小所帯なので豪華な昼食は出せ
ませんがスループレーを基本にしていますので、簡単な朝食や昼食でも不満は
ないと思います。
 グリーンフィーは年会費を納めているのですから会員は無論タダですので
月3回以上プレーする人には、ビジター料金との比較で格安です。
会員と同伴するプレーヤーをゲストと呼び支払いやマナーについて同伴会員が
責任を持ち、しかも年間9回までしかプレーができませんがグリーンフィーは
5000円です。
ビジターは紹介者も同伴者もいないプレーヤーの事でハンデキャップ証明書を
必要とし1万円フィーです。
これら会員以外の来場者収入は、そのまま利益になりますから、クラブハウスの
改修積立金やコース改修費に充てます。基本的に会員のためのコースですから、
トーナメントを開催する事はなく、極端に長い距離は必要ありませんが、何度
回っても飽きないようなコースが好ましく思います。

とても魅力的に感じるこれらの運営手法は実はは一般的な欧州の倶楽部組織
実態なのです。