株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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 週刊ゴルフダイジェスト(7) 2010年6月22日  出版社:ゴルフダイジェスト社

ゴルフ場での立ちション考

南アにはゴルフコースが500近く存在しますが、多くがケープタウンやジョージといった沿岸部と、内陸のサンシティー近郊にあります。
スケールが大きく野性的なコースが多いので世界的な評価も高く、ゴルファーの憧れの地でもあるのです。

今回はサッカー選手がゴルフ場で立ちションをした映像ですが、プロゴルファーがコース内で用を足す(良くするけど)必要がある場合、写真を撮られるなどというヘマはしないと思いますし、良識あるメディアならそれを話題にしない紳士協定があるようにも思います。
でも良い機会なので、コース内でのトイレ問題を考えてみましょう。

19世紀以前の原始的ゴルフでは外界とコースは一体なので、トイレ問題自体が存在しませんでした。 19世紀半ばから都市近郊にコースが造られたり、エセ貴族趣味が加わったり、女性ゴルファーが増えたので、20世紀以降になるとクラブハウスとは別の常設トイレを、コース内に設けるようになりました。

今年の全英開催コースのセント・アンドリュースのオールドコースでは10番グリーン奥に常設トイレがありますが、多くの人が6番フェアウエー右手前のハリエニシダの茂みでも用を足すようです。 尤も競技期間中はギャラリー用の仮設トイレが各所に設けられますし、選手が優先(順番抜かしが許される)なので問題は起きないようです。

欧米では、喫煙でも排泄行為でも屋内空間か戸外なのか、言い換えれば自分達が造り管理する空間か否かで作法が大きく異なります。 都市インフラが未整備のロンドンで、建物から汚物を投げ捨てていた話は有名ですが、現代のゴルフコースは屋外ですがグリーンやフェアウエーの芝は刈り込んであり、その管理を無視するような行為は慎むのです。 逆に、日本と違いヘビーラフは文字通り野放しで全く管理しませんから、自然な欲求に沿った行為も、当然のように容認されてきたようです。

もう一つ欧米人と我々日本人には遺伝学的な違いもあるようです。 基本的に狩猟民族は歩くスピードが早く、食溜めが利き、長い時間排泄を我慢できるようですが、我々農耕民族がゴルフをすれば、プレーが遅く、すぐお腹が空き、トイレも近い訳ですから、大多数の日本のゴルフ場形態は必然だったのでしょう。

それにしても、国際試合の遠征中にゴルフを楽しむ余裕があるとは、、