株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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月刊 ゴルフ場セミナー 2011年12月号 発行:ゴルフダイジェスト社
連載コラム グローバル・アイ  第107回
 
休日分散化と倶楽部組織
  欧米の新学期は九月だが、東大をはじめ秋入学を検討している学校もあるという。
世界三位の経済大国に周辺国から留学生が集まらないのは入学時期の問題だけではないと思うが、社会人だけに限らず学生にも中途入学制度はあっても良いように思う。
今回は年度区分というか、内需拡大のための休日、休暇について考えてみよう。

 現代日本では、国民の祝日が先進国最多の十五日もあり振り替え休日もあるので、欧州諸国に比べて纏った休みはとり難いが、細切れにリフレッシュできる印象だった。
が、ここ数年、我が国でも休日分散化の動きがある。
一つは観光庁主導による内需拡大策で、五月のゴールデンウイークと十月のシルバーウイークを、全国五ブロックに分けて五日程度の休みをずらし、連休に集中する観光客を分散して、家族旅行しやすい環境を作るのが目的らしい。
昨年のアンケートでは七割弱がメリットを感じないと回答しているが、来年からの導入を検討しているそうだ。
もう一つの理由は中初等教育における三学期制から二学期(前後期)制への流れで、既に大学等の高等教育で実施されている学期毎の学習成果を基にした単位認定により、授業時間を確保しながら総合的学力も育成できるらしい。
現実的には夏休みも冬休みも学期の中に組み込まれるから、野放図に羽を伸ばせない事が可愛そうだとは思う。
元々前後期制を実践している欧州では、九月の新学期から十二月のクリスマス休暇までの中間に秋休みがあり、十月末の二週間程度は学校が休みの場合が多いのだ。
日本でも秋休みは昭和三十年代までは農繁期の家事を手伝うために設定されていた地域もあったようだが、現代的な事情により復活する可能性があるという訳だ。

 この時代の流れはゴルフ場の来場者という側面からも、旧来の傾向とは違ったゴルファーを連れてくるだろう。
今までゴルフに縁の無かった若年層や、遠く離れた都市から泊り掛けで訪れるゴルファー、何よりも地域を跨いだ波状的集客チャンスは有難い。
円高や震災の影響で元気の出ないゴルフ業界への起死回生の一打だと期待している。

 さて小生はユーロ危機だというのに、秋休みの家族連れに混じって、欧州の秋冬の味覚を堪能するためにフランスやスペインを旅行した。
バルセロナ在住時代にもサン・セバスチャンを中心とするスペインバスクは魚介類が美味しくて好きな街だったが、『美食倶楽部』がとても羨ましかったので、そのシステムを紹介しておこう。

 初めに小生は外人で、男性だけどバスク在住ではないから倶楽部入会資格はない。
だけど食道楽の男性達が自ら厨房に入って料理を作り、倶楽部メンバー同士でワイワイ批評しながらテーブルを囲むというスタイルは、原始的ではあるけど理想的な倶楽部の運営方式だと思う。
開け放たれた窓から観察しただけだが、大きな長テーブルにメンバーが先着順に座るのも特徴的で、この方式は現代のゴルフ倶楽部では非常に数少ない(ミュアフィールドしか知らない)のではないかと思う。麻雀卓のようなドロー毎のテーブルでプレーヤー同士を隔離してしまっては、メンバー相互の連帯感が希薄になるのも当たり前だ。
共同購入した食材や酒は自己申告し、運営費もメンバー全員で折半している筈で、女人禁制も含め多少の不便があるからこその倶楽部活動なのだと本気で感じた。