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月刊 ゴルフ場セミナー 2013年10月号 |
発行:ゴルフダイジェスト社 |
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連載コラム グローバル・アイ 第129回 |
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『トムモリスの国から』という題名の連載を始めたのが1999年9月号だから、今回で連続連載15年目に突入した。読者の皆様もう少しだけお付き合いください。
そろそろ落ち葉の処理を考える季節だが、フェアウエーにおいては枯葉をブロアーで吹き飛ばすのが一般的だ。
でもこの方法は人海戦術で人手が掛かるし、朝露で濡れてしまった枯葉には具合悪い。欧州の著名コースでもトラクターに牽引された大型ブロアー等は見た事がなく、全てが若手スタッフの仕事だ。
枯葉や小枝はルール上の救済措置が受けられるからプレーには支障が出ないはずだが、放置すると芝の光合成を阻害するし、腐敗して雑菌の温床になるので速やかに撤去するに越した事はない。
普段はリール式のフェアウエーモアにバケットを付けて半インチ程度の刈高に維持していると思うが、トリマーというか多連ロータリーモアをグラスバッグ付きに改良すれば効率が良い。という話題だ。
ロータリーモアに比べてリールモアは仕上がりが美しいと言われているが、反面アンジュレーションの追従性がリール幅の制約を受けてしまう。
また、多くの日本のコースはフェアウエーに野芝や高麗芝を採用しているから、腰のない洋芝に比べてリール歯と下歯に掛かる負担が大きい。
更に欧州ではフェアウエーの刈り芝をバケットで運び去るのは少数派で、大半のコースは芝の栄養と称して刈くずを放置したままなのだ。
実はゴルフコース用の管理機材では見かけないが、家庭用の芝刈り機ではグラスバッグ付きが当たり前で、しかも殆どがロータリー式だ。
この方式は扇風機を逆向きにしたような構造だから、吸い込んだ空気で芝を立たせて刈るし、刈くずや落ち葉も粉砕して一挙にグラスバックに押し込むのに都合よく、もう少し研究されても良い方式だ。
日本のゴルフ場は欧米の管理方法を、少なくとも管理機材では踏襲しているが、用途や芝種の違いは考慮していないように思えるのだ。
つまり、日本のフェアウエー環境では、リールモアよりもロータリーモアの方に適性があるような気がしている。
さらに、ロータリーモアの刈高も簡単に調整可能だから、一台でラフ用モアにも兼用できるし、刈柄(ストライプ)でさえ可能なのだ。
蛇足だが欧州のフェアウエーバンカーは日本と違い、フェアウエーの中に突然現われるようなデザインにする場合も多いが、その場合はバンカー近くまでフェアウエーモアで刈り、残りをフライモアで整えるのが一般解だと思う。
英国生れの男子はヨチヨチ歩きになると、必ずカタカタ押し車ならぬ『手押しモアの玩具』を与えられる。
幼い時からそうやって母親に飼い慣らされる訳だが、逆に言えば芝刈りの品質について誰でも一家言持っている。
小生も最初は手押しモアを使ったが、結構な体力が必要なので電動モアを手に入れた時は本当に嬉しかった。
先日誕生したジョージ王子も、もうすぐキャサリン妃から『手押しモアの玩具』をプレゼントされるに違いない。
ついでにコアリングの話をしておくと、南北に長い日本で系列コースがある場合は、複数コースでコアリング機材を共用したほうが管理費削減に役立つと思う。
欧州ではグリーンの更新作業だけでなく、フェアウエーのコアリングも年に複数回行うようになり、大型のドリル&フィル等の所有は財政的に不可能で苦慮しているからだ。
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