株式会社キャトルキャー ゴルフコース設計家 迫田耕(さこたこう)
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月刊 ゴルフ場セミナー 2004年1月号 発行:ゴルフダイジェスト社
連載コラム グローバル・アイ  第13回
 
スコットランドの冬場のゴルフの話
 新年号にふさわしい話題かどうか判らないが、スコットランドの冬場の
ゴルフの話から始める事にしよう
 基本的に英国は、夏がドライで冬に雨が多い事は再三お伝えしてきたが、
北のスコットランドも同様である。
セントアンドリュースも雲の低い日が続くが、暖流の影響で雪が積もる事はまれである。ただし、北緯56度での
日照時間は限られておりお正月近辺では朝8時半から昼の3時半までの
7時間しか太陽を拝む事ができない。つまり、午前中にスタートしなければ
日没までに18番に辿り着けない訳でスタート時間の枠は3時間ほどしか
取ることができないのだ土地っ子は冬場はゴルフシーズンではないと
割り切っていて、倶楽部競技も十一月の半ばで終了してしまうが、元旦だけは
ゴルフの虫が疼きだすらしく、ニューイヤーズデイの催しがある。風が強く、
寒くて暗い季節にも嬉々としてゴルフに打ち興じているのは、クレージーな
アメリカ人か日本人と相場は決まっているそうだ。

 相変わらず今年もゴルフ業界の景気は良くなるとは思えないのだが
こうゆう時だからこそ可能な夢もある。例えば27ホールあるゴルフ場を
トーナメント用の18ホールに改修する計画など夢のある話だと思う別に
ホール数を減らす必要はないのだが50年や100年後を見通した上で現在よ
価値の上がるゴルフコースにする為には、多くのコースで抜本的な見なおしが
必要である事も、事実であろう。
 欧米男子ツアプロが、その持てる力を競う場としてのコースは、今や距離
だけを見ると、8000ヤード以上が必要だと囁かれ始めている。10年ほど前まで
7200ヤードもあれば充分な難易度になっていた事を考えると、進化の
スピードは呆れるほど速く、半世紀先には8000ヤードでも短いと言われる時代
が来るに違いない。

 欧州では新たに敷地が増えた場合など既存のホールレイウトに囚われず、
全く新しい原案を作りそれに沿って既存レイアウトに調整を加えるのが
一般的であるその場合既存グリーンやティーインググラウンドが幾つ
再利用できるかがトに大きく反映されるので設計者の腕の見せ所にる。
うまくした物で敷地の中で鍵となる場所は決まっておりまともな既存設計の
上にレイアウトすると18ホール中10ホール程度で既存グリーンを再利用でき
のだ。無論、既存グリーンを横向きに使ったり、後ろから攻めたりする事にも
なるが、かえってこの事がコースの歴史の厚みを感じさせる要素になる。
 高麗、ベントの2グリーンをニューベントの1グリーンに改修する計画
ているコースもあると思うが、単純に高麗グリーンを削っただけでは、跡地が
空虚なスペースになり、周りの景色との馴染みが悪い場合が多い。このような
場合こそ50年先を見越した大規模な改修工事のチャンスと捕らえ全く新しい
レイアウトを考える時であると思う。基本計画など莫大な土木工事費用から
見れば微々たる額だし、全く新しいレイアウトを考える過程で、既存コースの
新たな可能性や限界が見えてくる事い。複数の設計者達による公開コンペも
含め、検討してみる価値は充分にあると思う工事期間もアプローチエリアを
含めたグリーンの改修工事と大して変らないと思うし、メンバーの了解も
取りやすいのではないだろうか。