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月刊 ゴルフ場セミナー 2014年6月号 |
発行:ゴルフダイジェスト社 |
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連載コラム グローバル・アイ 第137回 |
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気象庁の発表によると、今年はエルニーニョ現象が5年ぶりに起きるらしく、涼しい夏と暖冬になる可能性が高く、梅雨の期間も長いそうだ。
当然、夏場の日照時間は少なく降雨量も多いだろうから、今から準備しておきたい。
とは言っても、過去65年間で15回目だそうだから、今やエルニーニョ現象は異常気象とは呼べず、言い訳の道具にはならないと思う。
ついでに言えば、エルニーニョ現象が起きた翌年は、逆のラニーニャ現象が起こる確率が高く、来年は夏の猛暑と冬の寒波に注意が必要だろう。
ご存知のようにエルニーニョは、南米沿岸から中部太平洋赤道域の海水温度が僅か(1.5℃未満)高くなる現象で、日本を含む世界の天候に影響を与える事が判っている。
元々はペルーの漁師が数年毎に起きるイワシの不漁から気付いたらしいが、現在では深さ500mまでの海洋表層の水温や流れは、気圧差による海面上昇や貿易風の強度から南方振動とも呼ばれ、その仕組みも解明されている。
問題は、同じようなことが大西洋やインド洋でも起こり、それらが複雑に絡み合って世界中の気候を激しく偏らせてしまうことだと思う。
狭い日本においてさえ、北、東、西日本という分け方と、太平洋、日本海側という組み合わせを考えないと気象条件は括れないのに、世界中の気候区分はずっと煩雑なのだ。
何が言いたいかというと、日本の芝草管理者の常識から考えれば、数年に一度の天候不順程度なら対処法も確立済みだと思うが、エルニーニョの年は世界中の何処かで痛ましい自然災害が起きる可能性が高いということだ。
発展途上国は無論だが、大国と呼ばれる国も実情は貧富の格差が激しく、気象情報の伝達すらおぼつかない。つまり、農業生産が天候の影響をモロに受けてしまうのだ。
ということは、農作物の価格や輸出入量、運輸や商取引、ひいては日本国内の景気にも影を落とすだろう。
国内だけを考えても、長引く梅雨と冷夏はレジャー意欲を削ぎ、衣料品や趣向品の購買額が減少するかもしれない。
すると、せっかくの景気回復への期待が揺らぎかねない。
ゴルフ場の入場者が減ってしまっては芝草管理者のエルニーニョ対策も無駄になってしまうかもしれないのだ。
小噺に『風が吹くと桶屋が儲かる』というのがあるが、近年では『風が吹かないので桶屋が儲からない』と言い訳するか、もっと極端に『風が吹くと桶屋が売れると思って作りすぎてしまい、結果的に在庫を抱える』と変化しているように思う。
自然を相手にする職業は、地域の情報を集めて予測を立て、野心的な目標を掲げて遂行することが最善の策なのだ。
さて、梅雨の前になると毎年思うのだが、日本のゴルフシューズはもっと雨仕舞いに配慮すべきだと思う。
日本は世界のゴルフ環境の中ではとても雨が多い地域で、ゴルファーもあまり背が高くない。つまり歩幅が狭く、泥が跳ねやすいのだ。
蒸し暑い夏用と結構寒い冬用のゴルフシューズがはっきり分かれていないのも不満だが、何といっても雨天用のゴルフシューズを開発すべきだ。
芝草管理者なら経験済みだと思うが、洋芝と高麗芝それぞれで、濡れた芝と乾いている芝では同じ靴底で別物のようにグリップ感が違う。
グリーンやティーインググラウンドでは何とかなるかもしれないが、雨に濡れた傾斜のあるラフでバランスを維持するのは結構難しいのだ。
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