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月刊 ゴルフ場セミナー 2014年10月号 発行:ゴルフダイジェスト社
連載コラム グローバル・アイ  第141回
 
採れたて新鮮を持ち帰る工夫
 井戸もないのに相変わらず『秋の日は釣瓶落とし』と言っているが、最近では為替相場や株の用語を使った例え話の方に現実感があると思う。 ともあれ秋分を過ぎると急激に日の入りが早くなる。 今回は食の秋ということで食材の話題にしよう。

 小生の事務所は築地市場の近くにあり、魚屋さんや割烹の親爺に混じって、場内市場で夕飯のオカズになる魚を物色していた時期がある。 その時に見聞きした話を纏めて、想像力を働かせると以下のような話になると思う。 小生の郷里である広島で取れた魚を、冷蔵トラックで運ぶ場合を考えてみよう。 東京―広島間は約800km。 山陽自動車道と東名高速を使い、法定速度で走りきっても9時間は掛かる距離である。 実際は渋滞にもあうし、ドライバーの休憩時間も必要だから12時間以上だろう。

 一方、セリは早朝に始まり、魚の搬入や仲買人の下見時間を考えると、午前3時には築地市場に到着したい。 ということは前日の午後3時以前に出発する事が必要だ。 漁師さんが午前中に魚を水揚げすればギリギリ間に合うタイミングだが、逆に考えれば広島より遠い所の魚は翌日のセリには間に合わないのだ。 というわけで鮮度を重視する場合、現地で冷凍するとか、魚を生きたまま運び少し休ませてから出荷するとか、航空便にするとか、物流業者は色々考えてきた。

 でも、せっかくセリに掛けられ仲買人に渡ったとしても、全てがその日に売れてしまうとは限らない。仲買人の所で留め置かれた挙句、魚屋さんの店頭でも売れ残ってしまう場合だってあるだろう。 結局、近海物(当たり前だが築地に近いという意味ではない)だとしても、魚が網に掛かってから最短で二日、悪くすれば四日以上経った鮮魚が食卓に並んでいるのだ。 もちろん厳密に管理すれば熟成して美味しくなる食材もあるし、鮮度を重視する場合でも大手小売業では仲買人を通さない流通ルートや、個人では産直宅配もある。でも運送時間の壁はどうしようもない。 つまり大都市の住人は、自分で釣って調理する太公望でない限り、本当に新鮮な魚には出会うチャンスがないのだ。

 さて、築地の魚河岸の傍には野菜を扱う通称『ヤッチャバ』もあるが、産地からの運送時間問題は似たような状況ではないだろうか。 もっと言えば、新鮮さが求められているのは鮮魚や野菜に限らず、果物や鶏肉や切花でも同じだと思う。

 ここからが本題なのだが、大都市に居住しているプレーヤー比率が高いゴルフ場は、その地域で取れる魚や野菜を販売するのはどうだろう。 ゴルフ場の特性として、お客様は朝に来訪して午後にならないと出発しない。 ということは、午前中に注文を受け、午後二時までに生産者にクラブハウスまで届けてもらえば、とびきり新鮮な魚や鶏肉や野菜や果物や花を、持ち帰って貰えるわけだ。 ゴルフ倶楽部は小売商店ではないのだから、店頭販売をする必要はないし、注文販売だから売れ残る心配もない。 生産者との連絡方法など昨今は幾らでもあるだろう。 他にも、朝の受付直後に預かった衣類のクリーニング等も可能性があると思う。

 このような話をする理由は、ゴルフ場が少しでも地域に根ざして欲しいからだ。 スタッフの中に実家が農家のお嬢さんはいないだろうか? 友人に地元の漁師さん一家はいないだろうか?