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月刊 ゴルフ場セミナー 2015年3月号 |
発行:ゴルフダイジェスト社 |
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連載コラム グローバル・アイ 第146回 |
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今回は本コラムの主読者であるグリーンキーパーや管理スタッフの話題です。
欧州のゴルフ場は日本に比べて、管理スタッフの人数が少ないのだが、例えば7人しかいなくても、必ず一人はメカニックである。
専門はモアの刃研ぎや、運搬機材の修理調整、給排水管の管理点検等と多義に渡る。
欧州は水道水に限らず石灰分が多いから、スプリンクラーヘッドが白い残留物ですぐに詰まってしまう。このスケールを取り除く作業もメカニックの重要な役目だ。
尤もこの作業は日本では不要だが、代りに調整池や砂防ダムの点検や水質検査等、責任を持って状態監視する専門性を持った人材も必要だろう。
本誌のキーパーズリポートを拝見すると、肥料と薬剤の施用や刈込ばかりで、機材のメインテナンス記録はない。
洋芝に比べて硬い高麗芝や、トップドレッシングが大粒径な上、芽数が少なく砂を噛む頻度の高いグリーンモアも、頻繁なメンテが必要だ。
ここは英国の昔ながらのキーパーが言っていた通り、毎日怠りなく管理している筈だと好意的に考えよう。
欧州内で管理棟に入ったのは所属倶楽部と取材対象の著名倶楽部ぐらいだが、コース管理の出来不出来は管理棟内の整理整頓と密接に関わっている。との認識は古今東西というか、生産現場では常識になっている。つまり、管理棟内の掃除もキチンとできない輩には、ロクな仕事ができないらしい。
一般的に管理棟には、機材置き場と修理場、肥料や薬品庫、事務机やロッカー等があると思うが、日本は限られた管理棟面積の割に、休憩スペースが大きい印象だ。
その意味では、管理スタッフの労働環境も少しは考えられている。と言えるのだろう。
ただ、スポーツターフ全般を含め、芝草管理者の国家資格制度は未だなく、封建社会の小作農民と同様の扱いを受けているような気もする。
確かさを保証できるだけのデーター数を持っていないのであくまでも印象なのだが、日本の管理スタッフの給料は学歴が高い事も影響して、欧州よりも高いと思う。
一方の米国では、少なくともスーパーインテンダント(英国では系列コースのグリーンキーパー達を統率する役目と捉えられている)の給料は英国の数倍と噂されている。
ついでにゴルフコースの概略を比較すると、日本は傾斜や法規制のためか敷地面積が諸外国より圧倒的に広い。
加えて、ラフさえも管理するのが一般的だから、結果的に管理面積が広大なのだ。
さらに、変則的なスタート方式の関係で作業可能な時間帯制限も厳しい。しかも、自然植生とは違った芝を、減農薬下で安価で高度に管理するよう要求されているから、管理者の苦労が絶えないのだ。
江戸時代初期には寒い北海道で稲作はできなかったが、品種改良によって今では一大生産拠点に育っている。
今後、日本の高温多湿の夏でも病害に侵されにくい常緑芝が開発されるだろうし、それは日本しかできないハズ。
未来への展望を考えると、キーパーやスタッフの役割は、欧米で評価の高い品種を導入して評価するだけでなく、品種改良の実験も熟す事も求められてくるだろう。
そうなれば、日本より暑いアジア諸国での芝草やその管理技術を先取りできるのだ。
最後に、ゴルフコースの評判は美人投票と同じで、先進性や理想主義的な試みは、高い評価を得るとは限らない。
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